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「IN PRINT, OUT OF PRINT 表現としての写真集」展

開催中 2017.11.18 New

開催日: 2017.12.9(土)-12.24(日)

 表現の新たな可能性を秘める、写真集の現在

 

「本」は長い歴史の中で与えられていた、「情報を伝えるメディア」の役割だけではなくなりつつあります。特にこの数年、情報伝達の手段がインターネットや電子書籍などに置き換わる一方で、物質としての「本」は、体験を伴った読書を通じて読者に情報以上のものを与えてくれる役割が見直されています。またSNSのように無制限に情報が広がってしまうのではなく、制作した部数が適度に良い距離まで広がっていく点が、デジタルネイティブ世代には新鮮な媒体として受け入れられ、自費出版という個人活動へ派生していきました。今日、時代に適した「本」の機能が多角的に再評価されつつあります。

「本」が新しい表現手段として活かされている中でも、オリジナルが二次元的な「写真」は「本」の構造との親和性が高い特徴があります。過去から「写真集」の出版は写真家にとって重要な作品発表の手段としてありましたが、大部分はオリジナルの複製を多くの人に見せるためのカタログとして用いられており、今日の「写真集」とは違った機能が求められていました。現代では「本」自体が新しい表現になり得る可能性に気がついた写真家たちが、「写真集」をひとつの表現として積極的に用いるようになっています。また、誰でも写真集が作れるプラットフォームが整ったことで、以前にも増して多くの写真集が刊行されています。この動向は世界中でのアートブックフェアの開催やフォトブックアワードの設立、独立系出版社の増加といった国際的な潮流にも現れています。

写真集が表現として身近になった一方で、そのすべてが良質な写真集と呼ぶには難しい、玉石混交な状況でもあります。優れた写真集ができるためには、作品のクオリティだけでなく、レイアウトや収録作品の選定、印刷の再限度、適切な紙や造本の選択、デザインの検証など、多くの事柄をひとつに束ねる必要があります。一冊の本を構成する要素のすべてがうまく収歛した時、その写真集は「表現」に昇華されるのではないでしょうか。

本展は、写真集の制作過程で作られる製本サンプルの「束見本」や、印刷時に版として使われるアルミ板の「刷版」、印刷色のチェックのために刷られる「校正刷り」、また印刷の最終段階で作家立会のもと調整されていく「掘り出し」など、仕上がった写真集からは見えない制作現場の産物から、一冊の本ができあがるまでにどんな工程を経て「写真」が「写真集」という表現に昇華されていくのかを明らかにします。さらには本展を通じ、今日における「写真集という表現」の可能性を検証する試みです。

企画:CASE
http://case-publishing.jp/

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