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妹尾豊孝写真展

開催終了 2020.08.08

開催日: 2020/8/29(土)ー2020.11.15(日)

 妹尾豊孝は、会社勤めをしながら40歳の時に写真家を志し、関西を拠点に活動してきた写真家です。そして彼のデビュー作が、この「大阪環状線 海まわり」です。彼は「何よりそこに住んでいる人々に魅力があったから」と語り約10年にわたり、街のスナップを撮り続けてきました。写真群からは、街での人々の暮らしが生き生きとその場の匂いさえ写し込まれています。続く京都の街シリーズでも同様に、街を五百万歩、歩きまわり、大阪と違った古都の街の日常の一瞬をとらえています。
 今回は妹尾の初期の代表作「大阪環状線海まわり」と「5,000,000歩の京都」を取り上げて紹介します。
 
大阪環状線 海まわり
 「環状線の西側にある福島区、此花区、西区、港区、大正区という大阪湾と淀川、安治川、尻無川などの川が流れる海まわりの地域を撮ったスナップをまとめたものだが、いや、びっくりした。やっぱりすごい人がいる。私はこの人の経歴も何も知らないが、一九四〇年岡山で生まれ、七歳で福岡の田川へ、そこの高校を出て大阪の建設コンサルタント会社に就職し、八四年、つまり四十歳を越えて大阪写真専門学校(現・大阪ビジュアル・アーツ専門学校)を卒業と略歴にある。四十の手習いならぬ、写習いである。そうして、たぶん初めてまとめた写真集がこれなのだろうが、すごい、もう十分出来上がっている。―略― ある世界が見えるということが本質的なことである。いかなる世界であるか、については、人によっていくらか違うだろうとは思うが、ここに開示されている世界は、古き良き、失われゆく世界、というような言葉を浮かべると、ただちに私らの貧弱きわまる頭の内に出てくる懐かしき世界にどこか似ているようにも見える、が、それとは断然別物の、イマ、コノ時代の内に見出される活きた現実であって、まさしく撮れたての旬であって、しかも、撮っている人が写っている人と、それどころか、その場そのものとしゃべくりながら、いや、その場で聞こえるすべての物音を聞きながら、ホットットと指でシャッターを押して、場の音や温度や風や、臭いや騒ぎまで、この人が全身でとらえた一切合財を暗箱の中に取り込んできた」(西井一夫『写真的記憶』より抜粋)
 
  
 
 
5,000,000歩の京都
 「この人は、ある空間の光景を丸ごととらえることに関しては、おそらく長野重一を上回る感性を持っていると思える。写真に写っている一瞬の前後の時間が確実に止められた瞬間に二重、三重、五重にと重なっていて、写真が瞬間を写すものでありながら、活動写真としての映画のシーンを見ているような気分にさせられる。瞬間の中にいくつもの物語が埋め込まれている。お話がいわば無尽蔵にあふれかえっているのだ。これほど何回見ても飽きることのない写真集も珍しい。タイトルの数字は、京都を撮りはじめたときからつけていた万歩計の数字を合計したもので、ここでも、写真は大変〈数字〉的なよそよそしさ、の概念の範疇でとらえられている。」(『平凡社百科年間1998年』より)
 
  
 
 
妹尾豊孝(せのお・ゆたか)プロフィール
 1940年 岡山市生まれ
 1947年 福岡県田川市へ移転
 1959年 福岡県立田川中央高校卒業
      大阪の建設コンサルタント会社に就職
 1984年 大阪写真専門学校卒業(現ビジュアルアーツ専門学校)
 1993年 写真集『大阪環状線 海まわり』(マリア書房)出版
 1994年 第6回写真の会賞受賞
      第44回 日本写真協会新人賞受賞
      写真展「大阪環状線 海まわり」(コニカプラザ)開催
 1997年 写真集『5,000,000歩の京都』(マリア書房)出版
 2001年 写真集『神戸 西へ東へ』(マリア書房)出版
 2005年 写真集『50年ぶりの炭都 筑豊田川の今』(ブレーンセンター)出版
 2007年 写真集『子どもの写真は、もう撮れない』(ブレーンセンター)出版
 2009年 写真集『もうひとつの阪神タイガース』(プレーンセンター)出版
 2013年 写真集『大阪の面白い人びと』(ブレーンセンター)出版
 2017年 写真集『大阪ぶらり―モノトーンのドラマ』(海風社)出版
 現在、大阪府在三島郡在住

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