2010年11月20日(土)~12月23日(木・祝)

平城遷都1300年記念 入江泰吉賞受賞作品展

 「日本人の心のふるさと」奈良大和路を約半世紀にわたってこだわり撮り続けた写真家・入江泰吉。その文化芸術への功績を記念し、奈良大和路から日本文化の美と心を発信するとともに、その歴史的景観を後世へまもり伝えていくことを目的として「平城遷都1300年記念 入江泰吉賞」を創設しました。
 このたび、一年をかけて募集した結果、同賞に応募された作品は225点にもぼり、さまざまな視点できりとられた作品のひとつひとつは、奈良大和路の新しい表情を見せてくれました。 中でも、大和の風景をとらえた作品は、入江が撮影していた頃から数十年を経てもなおその独特の風物は色あせる事が無く、心の奥に沁み入る何とも言えない情緒を醸し出していました。
 今回。「入江泰吉賞」ならびに「入江泰吉奨励賞」「日本経済新聞社賞」を受賞した3作品を展示し、受け継がれた入江の想いとともに、今に残され、これからまもりゆく奈良大和路の美と心を紹介します。
2010年11月20日(土)~12月23日(木・祝)

會津八一と奈良の写真家―工藤利三郎・小川晴暘・入江泰吉―

 會津八一は、美術史家であり、歌人、書家と幅広く活躍していますが、その原点は「奈良」でした。會津は、日本の伝統文化が息づく奈良大和路をこよなく愛し、その感動を歌に詠み、書にしたため、奈良の魅力を広く知らしめたのです。
 そもそも會津八一と奈良とのかかわりは、東京在住時代に交流のあった文人・淡島寒月宅で、奈良の古寺仏像の魅力を聞かせられたり、奈良で買い求めた工藤利三郎の写真を見たことがきっかけで興味を覚えたと言われています。そして明治41年に初めて奈良に訪れて以来、奈良の仏教美術とそれをとりまく佇まいに深く感動し、作歌活動や東洋美術の研究に打ち込んできたのです。
 とくに大正期には、写真家・小川晴暘と知り合い、會津の熱心な勧めにより、文化財写真の専門店「飛鳥園」を発足させ、文化財研究の専門誌『仏教美術』(季刊後に『東洋美術』と改題)や『室生寺大観』などを共同制作し、日本の美術史研究の新しい頁を開きました。また一方で、奈良を散策し大和の思いを歌に託した歌集 『南京新唱』を出版、その後もその作歌活動は衰えることなく続けられ、奈良をうたった名歌がいくつも誕生しています。
 戦後、そんな會津の歌に感銘し、大和路が持つ歴史の重みを噛み締めながら撮影してきたのが入江泰吉でした。そして會津の歌に共鳴するかのように、大和路の風物を抒情的に表現してきました。
 今回は、會津八一とかかわりのある奈良の写真家、工藤利三郎、小川晴暘、入江泰吉の三人を取り上げて紹介します。それぞれ三人が生きた時代の背景や写真芸術にかける情熱を紹介するとともに、會津八一の歌と関連資料から、さらなる奈良の奥深い魅力を感じ取っていただければ幸いです。