平成23年7月2日~9月25日(日)

美とこころ―入江泰吉 京の庭―  [展示室A]

 日本庭園の造営の歴史は古く、飛鳥・奈良時代に遡ります。初期の庭園は、大陸や朝鮮半島の様式にならった庭造りが主流でしたが、次第に日本人の持つ美意識や思想を随所に散りばめ、 日本の風土に合った理想の風景を創造するようになりました。それは、もうひとつの自然であり究極の美の空間といえます。
 奈良大和路のありのままの自然や風物に日本の美を見いだした写真家・入江泰吉にとって、日本庭園はいわば対称的な被写体といえます。そのため創作や表現としてではなく、仕事としての撮影に専念していました。
 しかし、数々の庭園を巡るうち、日本庭園の世界観に興味を覚え、その中にある日本人の自然観や美意識は自身の美学と相通じるものがあると感じるようになりました。
 今回の展覧会では、京都に庭に絞り、入江泰吉の眼できりとった日本庭園の美をモノクロとカラー作品で紹介します。日本人の感性で自然を再創造した「造景美の世界」をご覧ください。
平成23年7月2日~9月25日(日)

入江泰吉 大和の暮らし―昭和20年~30年代―  [展示室B]

 “入江泰吉”と言えば、奈良大和路の情緒あるれる風景や、見る者を祈りに誘う仏像など、大和の歴史が織りなす景観や美をテーマにした作為hンを思い浮かべる人が多いことでしょう。
 しかし、入江は戦後から昭和30年代中頃にかけて、大和路の風物の美を追求するだけでなく、そこに暮らす人々の姿や変りゆく街の表情をとらえた写真も数多く撮影していました。ライカやローライを片手に、街で行き交う人々や農村で働く人、 外で無邪気に遊ぶ子どもたちの姿など、日常のさりげない生活風景を写真におさめています。
 これらの写真群は、おそらくライフワークである大和路の風物の撮影の行き帰りに出会った場面を活写したもので、古代から連綿と営まれてきたふるさと奈良の暮らしの風景を、同時代人として記録にしておきたかったのではないでしょうか。
 今回は、写真が持つ記録性をテーマに、今まであまり発表されず顧みられなかった戦後から昭和30年代の生活風景を、奈良市内、斑鳩、山の辺、飛鳥など地域別で紹介します。
 入江が歩いてきた大和路の原風景を知っていただくとともに、懐かしい風景とそこで暮らす人々に寄せる入江の温かいまなざしを感じとっていただければ幸いです。