2013年4月6日(土)~6月30日(日)

写真集でたどる入江泰吉の軌跡―前期(昭和20~45年まで)―

 入江泰吉は、戦前の約半世紀にわたって奈良大和路を生涯のテーマとして撮影に取り組んできました。残された8万点以上のフィルムは、仏像、風景、伝統行事、万葉の花など多岐にわたり、どの作品も記録にとどまることなく奈良大和路の奥深い魅力と撮影にかけた入江の思いが込められています。
 そうした入江の思いや撮影の姿勢がよく表れているのが写真集です。写真集の出版は、写真家にとってその時点、そのテーマにおける自己の最大の表現であり、数多くの作品からどれを選んでどれを捨てるか、どの構図を採るかという判断を迫られます。それだけに、選ばれた作品には作家の思いや表現の意図がよく表れていて、私たちは時代の背景までをうかがうことができるのです。
 入江は生前に数多くの写真集を刊行してきました。自身の写真集だけでなく、その写真は仏教美術や奈良に関する書籍、ポスターなど多くの媒体で使われて、愛されてきました。さりげない佇まいにも大和路本来の美しさがあることを入江の作品によって気づき、共感した人も多いのではないでしょうか。
 本展は、入江が刊行した写真集をはじめ、奈良に関する書籍に収録された作品を取り上げます。今回は、前期編として終戦直後から昭和45年までに発表された写真集や主な書籍の中から作品を選び、入江がどのような思いで奈良大和路の風物と対峙したのかを探ります。