2014年1月4日(土)~3月16日(日)

入江泰吉 お水取り

 「十二人目の練行衆」。入江泰吉はそう呼ばれました。
 練行衆とは、東大寺二月堂の修二会に籠る僧のことで、十一人で構成され法要を行う中心的役割を果たします。修二会は1260年以上もの間、不退の行法として 護り受け継がれ、練行衆は一心に人々の幸せを願い祈ってきました。その修二会はいつしか「お水取り」と呼ばれ、春を呼ぶ行事として人々の生活に欠かせないものとして 今日に至ります。
 入江泰吉にとってお水取りは幼少のころから親しみ深いものでしたが、大阪時代の20年間は疎遠となっていました。しかし、郷里の奈良に引き揚げた翌年の昭和21年に 再び二月堂の鐘の音を聞いたとき、その音に引かれるようにしてお水取りに参籠したといいます。入江はその日から取材を始め、毎年欠かさず30余年にわたり行法の 一部始終を見つめてきました。練行衆と同じ時間、同じ世界に籠り、同じ心で行法のすべてを記録してきた入江の姿は、もう一人の練行衆に見えたのでしょう。
 今回は、奈良時代より連綿と続けられてきた「お水取り」を取り上げます。行法の記録だけにとどまらず、練行衆の日常や行を支える人々の舞台裏までをとらえた 全容を紹介します。